第1回:コロナウィルスは人類に災いをもたらすだけなのか

タイトルの問いの答えをはじめに述べれば、コロナウィルスによる災いを避けるためにリモートワークが大きく普及することになれば、助かる人々が多数生まれるだろう。育児や家族の介護、病気や怪我や障害などで、自由に外出して働けなかった人々がそうだ。

子供が生まれたり、家族が要介護の状態になったり、病気や怪我をしたり、その結果、障害が残ったり、ということは誰の身にも起こりうることだ。しかし、今まで社会は、こういう境遇にある人々に対してほとんど無関心であり続けてきた。

僕は「弱者」という言葉があまり好きではない。「弱者が外出しなくても働けるようにリモートワークの環境を整えよ!」と声を大きくして社会に要求するつもりはない。しかし、自分や家族がそのような境遇に身を置く可能性があることを想像できる人には、単にコロナ感染の被害を避けるためでなく、自分や大切な家族や子孫が将来のそのような境遇に身を置く場合に備えて、今回のコロナの流行をきっかけとして、本腰を入れてリモートワーク普及のために努めてもらいたいのである。

そういう進歩がなけければ、コロナ流行によって、人命が失われたり、職を失ったり、店や会社が倒産したりという不幸があとに残るだけだ。

また、再び別のウィルスが流行したら、同じことを繰り返すことになるだろう。

これを機会に、いっそのこと「感染に強い社会」を作ってみてはどうだろうか。コロナ以後(afeter corona)は、人類が史上はじめてウィルスや細菌によるパンデミックの災いを克服した世界にしたいものだ。

果たして、そういうことは可能なのか。僕は「できる」と考えている。なぜなら、人類は既にインターネットという史上最強の道具を手にしているからだ。

ウィルスは人と人が接触しなければ感染者を増やしようがない。インターネットは、人と人が接触しない状態で互いに顔を見ながらコミュニケートすることを可能にする道具だ。

これを使いこなせば、店に行かずに買い物もできるし、経済もなんとか回せる。

社会の中にどうしても接触を避けられない人がいて感染者が出ても、実効再生産数を1以下に抑えることができれば、パンデミックにせずに済ますことができる。

今回、コロナウィルスによる感染者が世界中に拡大したのは、僕らがまだインターネットという人類史上最も画期的な道具を真の意味で使いこなすことができていなかったからだと思う。

ちなみに、昨年の2月11日から僕は家族全員と自己隔離生活を送っているが、この1年近くを「オンライン技術に守られた安全地帯」の中で暮らし、その間、なんの不安も心配もストレスも感じずに過ごすことができた。

このaftercorona.worldというタイトルのブログでは、僕がこの約1年間、その安全地帯の中で家族で自己隔離生活を送りながら、コロナ以後の世界を創るために具体的方法について思索したり、試行錯誤したことを述べていきたい。

また、この期間に、国内外の企業のいくつかに対して、従業員が他者と接触する時間をカイゼンの手法を使って計画的に減らしていくためのコンサルティング活動にも取り組んだので、それについても述べたい。出勤者数の7割減の目標を達成できずにいる企業も多いようなので、参考にしてもらえれば幸いである。

さらに、市区町村別ごとに、日々の実効再生算数を公表することによって、住民がこれを共通の指標にすることよって、他者との接触時間を減らしたり、多少緩めたりするなど、地域で負のフォードバック機能を生み出し、実効再生算数を1以下に抑え続け、コロナ感染者数を収束させ、コロナを終息させるというシナリオの可能性と具体的方法と、その方法を実施するための支援ツールとして開発したサイト「実効再生産数.today」についても述べたい。ちなみに、このシナリオにおいても、カイゼンの手法を用いる。

カイゼンは言うまでもなく、日本発のもので、国内にはカイゼンの経験者が層をなして存在するので、この手法を使った住民たちによるアクションによってコロナを最も上手に克服できる可能性があるのは、他ならぬ日本の人々ではないかと僕は考えている。

実効再生産数は、最近、都道府県レベルの数字は公表されているが、もっと狭い市区町村ごとの数値を公表する方が、接触を避けようという人々の心理を引き出しやすい。できるだけ狭い範囲で指標となる数字を示すというのも、実はカイゼンの重要な考えだ。

コロナの感染は、政治家や政府にだけ任せているだけでは解決できるものではなく、住民の主体的な取り組みがなければ解決は不可能だと思う。なぜならば感染は通常、政府関係者たちの目の届かない等身大の世界で起こっているからだ。政府に対して、我々は過剰すぎる期待をして、過剰すぎる責任を負わせているのではないか。

感染の現場にいる人々の主体的な取り組みによってコロナを克服できた時、ウィルスの感染拡大を防ぐ方法を社会が学習することになるだろう。これはちょうど社会全体がワクチン接種をうけるようなものだ。

ウィルスの感染拡大を防ぐ方法を社会が学習できたら、今後、今回のようにワクチンが用意されていないウイルスが発生しても、社会が感染拡大を食い止めることができるようになるかも知れない。

その可能性を単なる妄想で終わらせないための具体的方法についても掘り下げて述べてみたい。